クラウドコンピューティングの未来
このところネットの世界で話題に上りつつある「クラウド」という言葉。個人的には非常に注目しています。
言葉自体は昔からある言葉で、多数のコンピュータ・サーバ群を一まとめにして解釈するためにつけられた名前です。日本語で「雲」と呼んだりも。最近は特に、そのサーバ群の中で情報処理を行うスタイルとして注目されているようです。
考え方自体は斬新なものではなく、パソコンが普及する前のメインフレームという大型コンピュータが処理を一括で行っていた頃の考え方と似ています。しかし閉鎖的で高価で手間がかかっていたメインフレームに対して、開放的でコストが安くアプリケーションによる工夫が多数なされているのが現在提唱されているクラウドコンピューティングです。
ITベンダーもマスコミも流行を作りたがり、新しい名前をつけたがります。名前をつけること自体は概念などを共有しやすくなるので良いのですが、特別斬新なわけではありません。
少し前まではWeb2.0という言葉が流行りましたね。個人的な簡潔な解釈としては「Web2.0とは、ユーザがコンテンツ作成の主体となるスタイル」という認識です。これも概念を指す言葉ですが、今はWikiやSNSなどの具体的な手段や仕組みの名前の方が浸透しています。これもシステム自体は前々からあったものですが。
クラウドコンピューティングについても既に存在し、ゆっくりですが普及しつつあります。
Googleの考え方は当初よりクラウドコンピューティングに似ており、GmailやGoogle Appsなどはその一端といえるでしょう。Microsoftも、これまでのWindowsでは標準を自ら作る動きでしたが開発中のWindows7では世界でスタンダードとなっている標準に極力従う動きのようです。
他にも大企業が次々と本腰を入れはじめており、動きは加速しつつあります。一言でいうと、「クラウドコンピューティングは、データ処理や格納をサーバ群に任せるスタイル」といったところでしょうか。
クラウドコンピューティングのシステムやスタイルが広まると、クライアントは最低限のソフト(Webブラウザなど)さえ入って動いていればハードウェアもOSも何でもよくなります。
デスクトップパソコン・ノートパソコンに加え、ネットブック(ミニパソコン)やスマートフォンなどという端末も普及しつつありますが、どの端末でも交互に使っても同様のアプリケーションで同じデータを扱うことができ、現在考える限り理想的なスキームかと思っています(端々のぼんやりした理想像は5年ぐらい前から私も考えていましたが、それを遥かに上回る概念です)。
個人としては、家では大きくて操作性の高いパソコンを使い外出先ではネットブックや携帯電話などで調べ物や小さな作業がこなせるようになります。企業としては、部署やプロジェクトの複数人でドキュメントなど情報を共有したりがさらに簡単にすると共に、情報の保存場所を一元化し管理コストの大幅減。
いいことがたくさんありそうですが、普及に向けての課題は、ネットワークの帯域と信頼性でしょうか。
ネットワークの帯域はここ数年で劇的に改善されました。家庭にも光ファイバやADSL、IEEE802.11a/b/gの無線LAN、3G携帯。今後も携帯ネットワークについてはLTE(3.9G)、無線LANについてはIEEE802.11nなど技術やインフラの進化が待ち遠しいところです。
もう一点、企業が提供するクラウドにあらゆるデータを預けることになるので、その企業とシステムを信頼できるかというのは大きな問題です。
信頼性は大きく分けてシステムに対する信頼性と企業倫理・ポリシーに対する信頼性が挙げられると思います。前者については、例えば稼働率99.9%を誇るGoogleのシステムは一般家庭はおろかほとんどの企業の信頼性を上回るものです。天災やテロなどの可能性を含めても割と安心できるものになりつつあるのではないでしょうか。
企業理念やセキュリティポリシーについては深い議論が必要になるところですが、結局はその企業を信じることができるかどうかですね。そこを乗り越えうまく使いこなすことができたら情報処理でかなり大きな変化となりそうで楽しみです。
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