竹中平蔵・藤巻健史経済セミナー

公開日: : 最終更新日:2015/06/01 経済

INV@STを展開する三貴商事の経済セミナーに参加してきました。
有料のセミナー(高額になればなるほど)は主催者の不都合になる可能性があるので、あまりblogなどで公開しないようにしています。一方、無料のセミナーは質の高いものが少ないのが現状です。しかし三貴商事は無料にも関わらず内容が濃く、宣伝色が薄いセミナーを開催してくれるので、せっかくなのでここでも書かせていただきます。
ただ、今回は竹中前総務大臣の部分のみ。藤巻氏も良い話をしていたのですが、パワーポイントが中心だったので。
また例により、内容の多くは訳者の解釈が入った後、私の解釈が入っていたりしますし、内容は保証できません。また、私の私見は極力反映していませんが、わかりやすくするための補足はしてあります。
[竹中平蔵、慶応大学教授・前総務大臣]
トピック
・安倍政権について
・2007年の経済
安倍政権について
今後改革は続くのかに注目。小泉政権は5年5ヶ月続いた。
2003年4月、日経平均株価の底。同年5月、りそな銀行に公的資金を注入。その後ようやく株価が回復。
同年6月に竹中総務大臣(当時)は、赤坂プリンスホテルに小泉総理(当時)に呼び出され、そこから地下から厨房を通り、荷物搬入用エレベーターで高層階の会議室に入った。そこでは生田正治・郵政公社総裁をはじめ、公的機関の首脳陣が集まっていた。特に、民間出身の公的機関関係者が多かった。
小泉総理は生田総裁に対し、あなたが最後の総裁になるということを話した。郵政が民営化するということを意味する。
郵政民営化は大きく6つの方針から成るプロジェクトだが、その概要は500ページにも及ぶ。これだけ大規模なプロジェクトの実現には時間を要するわけで、2007年の民営化実現のためには、2005年に国会で法律を通しておく必要がある。そしてそのためには、2004年に基本方針が固まっている必要があった。そのためにも2003年に議論を開始する必要があったわけで、小泉総理は絶妙なタイミングで話を持ち出したことになる。
早急な準備が必要になる中で、リーダーである小泉総理の情熱(Passion)と戦略を感じた。情熱は原動力戦略は方向性であり細部に宿るもの。この二つがなければ何事も推し進めることはできないが、この二つがあれば成し得る。
竹中総務大臣は金融再生プログラムとして、不良債権処理に取り組んだ。当時貸付全体のうち、8.4%が不良債権というひどい数字だった。これを2年のうちに半減させることが目標(ちなみに現在は1.9%となっている)。金融再生プログラムの中身は、当たり前だけど重要なこと6つであった。
プログラムの内容は本当に当たり前のことばかりであったが、そのうちの1つは、銀行の資産評価に関することであった。資産の評価は収益還元法(ディスカウントキャッシュフロー)に基づくものであるが、これに多くの抜け穴があったのが従来の方法であった。この計算法やガイドラインを明確化することがプログラムの一つであった。
また他の内容として、繰り延べ税金資産の算定ルール見直しというものがあった。繰り延べ税金資産は、将来の収益見通しを甘くすれば増やせるため、自己資本に算入することに対する批判が以前から強かった。前払い税金の資産計上について、アメリカでは上限があり日本はなかった。これに上限を設けた方が良いのではないかというものだったが、これに対しては銀行・マスコミからバッシングが集まった。しかしバッシングは繰り延べ税金資産に集まり、他の5つのプログラムには注目されなかったため他の5つは順調に進めることができた。繰り延べ税金資産のみ妥協点を探った結果、他の5つの政策の効果により当初の目標を達成することができた。
参考:All About「繰り延べ税金資産
安倍総理については、憲法改正に情熱を持っている。また、予算案も本質を外していない。2008年初頭にプライマリバランスを引き上げることによって赤字解消し、消費税引き上げの必要は早急ではなくなった。
しかし問題もある。一つが社会保険庁の問題。社会保険庁は国民の信頼をなくしており、これを6つに分ける案がある。この業務を国税庁に「移管」するという改革だったが、いつの間にか「委託」という言葉にすりかえられた。「移管」の場合権利は国税庁に移ることになるはずだが、「委託」となると権利は社会保険庁のままになり存続することになり、実質的な解決にならない。
ここには、社会保険庁は官僚の最大の天下り先の一つで、これを存続させたい官僚の意図が隠されている。
貸金業の上限金利引き下げについても疑問。金利というものは即ちお金の価格であり、価格を下げるということは供給が減ることは自然の摂理。ものの価格について政府が大きく関与することは、政策としては問題があるのではないか。
金融改革の一環として、商工中金の民営化を推し進めるべき。しかし商工中金は政府機関にとって最大・最高の天下り先であるため、当然反対が集まっている。この中でどう進めていくかは注目すべき。
2007年の経済
今年は団塊の世代が大量退職する。団塊の世代は、他の年代より数が4割以上多い。退職金も約2兆円多い年で企業のキャッシュフローは大変。しかし高い給料をもらっていた人が大きく減るという、楽になる面もある。
マクロ経済で見ると、緩やかな回復は続くであろう。その中で最大のリスクはアメリカ経済。アメリカでは不動産が下落し、負の資産効果が起きている。GDPは1%程度引き下がる。これは景気をやや減速させるが大きなものではない。
アメリカの影響は中国に影響し、日本に影響する。中国の経済は大きく減速することは当面ないだろう。日本では不良債権が8.4%ということで騒いでいるが、現在の中国は約25%というすごい数字。しかしこれは当面顕在化しないであろうと予想する。北京五輪・上海万博といった政治イベントもあるため、これまでは政府が持ちこたえるであろう。それ以降に関してはどこかで調整が入るのではないか。
2007年は、実質成長が2%、インフレ率0%で、名目2%成長の予定であったが、これは絶望的になってきた。理由はデフレが続いているからである。インフレとは、消費者物価指数によって決まるもので、消費者物価はエネルギー・生鮮食品を除いた物価のことである。この数字は-0.7%になるようである。名目成長率は税収に比例するといわれる数字なので重要。
現在の日本は10年前のアメリカと似ている部分がある。当時のアメリカはニューエコノミー論が広がっていた。それまでアメリカの成長率は総じて2.5%程度と考えられていたが、3.2~3.5%に押し上がっていった。今の日本も共通する点があり、成長率を上げるチャンスである。
アメリカは軍事費を削減して他の予算に充てる「平和の配当」によって改善の余地がある。日本には平和の配当は期待できないが、郵政民営化をはじめとする「改革の配当」が期待できる。郵便局は法により郵便事業・貯金事業・保険事業の3つしか事業を行なうことができなかったが、民営化によって他の事業も行なうことができるようになる。また、郵貯の1500兆円のうち4分の1が国債の形で国に回っていたが、これが他の資産に充てられるようになるだろう。
日本で今一番元気の良い業界は鉄鋼と自動車。これは新しい産業が育っていないことも意味する。アメリカではIT企業の成長が著しい。日本はITに対して、インフラ面でアメリカ以上のものを持っている。これは森内閣の際のe-Japan戦略が功を奏した。森首相自身がITについて理解していたかどうかはわからないが(笑)、大きな成果を挙げた。
格差問題については、議論を整理する必要がある。格差は本当に広がっているのかというと、よくわからない。家計調査の数字、ジミ係数について調べる必要があるが、ここ数年は数字がない。事実としてわかるものだけ確認していくと、失われた10年といわれる小泉内閣以前については、確かに緩やかに格差は広がっている。しかし小泉改革で格差が広がったかというと、確認できる事実はないし、不良債権処理が大幅に進んだので、それはないと考える。
そもそも格差とは何かというと、上と下が広がっている状態。その中で何が問題だと言っているのか。もし上を引き下げるべきだと言っているのであれば、それは社会主義ということ。下を引き上げるべきだと言っているのであれば、その問題は「貧困問題」と呼ぶべき。では貧困層は日本にどれぐらいいるのかというと、これもよくわからない。論じる前に、まず調査が必要であろう。
景気回復の実感はある。株価平均は最安値から約3倍になり、景気は拡大している。回復の実感がない原因はデフレであろう。名目の賃金・物価が上がっていないからである。いざなぎ景気は4年11ヶ月続き、その間の賃金・物価は2.2倍になった。現在は同じ期間で1.04倍という数字。
日銀が出すお金の量をベースマネーという。これは前年比で-22%であった。これは戦後最大の金融引き締めであり、デフレ脱却を目指すような環境ではない。
企業が潤っているのに、家計が潤わないという問題が持ち上げられている。労働分配率(利益のうち、何%を労働者が得るのかという数字)は70%強から64~65%になった。逆に失われた10年の間には、60%から73%に上がっていた。バブル崩壊後には利益が下がっているのにも関わらず給料が変わっていなかったので、現在はその調整を行なっているといえる。
中国・インドについては、当然注目するべき。日米欧の人口の合計は約6億。インドと中国は、技能労働者だけで6億。19世紀のGDPは、中国とインドで世界の約45%を占めている。特にインドは教育水準も高く、2/3は大学卒業者。世界の大学卒業者の12パーセントはインド人が占め中国の10倍にもなる。インドのGDPは日本の4倍で、人口についても2030年に中国を抜くといわれている。
経済ってそういうことだったのか会議
藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門

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  2. モモンガ より:

    TBありがとうございました。
    先日のセミナーは、ほんと充実していましたね。

  3. Angelina より:

    こんにちは!初めて投稿させて頂きます。すご~い藤巻さんのセミナーに参加されたのですね。「5年後にお金持ちになる資産運用」私も読ませて頂きました。政治と経済全般のシェアをわかりやすく教えて戴きありがとうございます。小泉首相は何故5年もの間トップを維持できたのか本当に謎ばかりですよね。

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