ジム・ロジャーズ講演会
公開日:
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最終更新日:2015/06/01
投資
INV@STを展開する三貴商事主催、ジム・ロジャーズ来日講演会に行ってきました。
かなりの申込み数だったようで競争率も高く自分も抽選には落ちてしまったのですが、ちょっと特別に。持つべきは仲間ですね。
全ては伝え切れませんが、行きたくても行けなかった人が周りにも多いので議事録。内容の多くは訳者の解釈が入った後、私の解釈が入っていたりしますし、内容は保証できませんが。そして、私の私見は極力反映していませんが、わかりやすくするための補足はしてあります。
ジム・ロジャーズについて
ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並ぶ世界三大投資家の一人(ピーター・リンチを含めて四大投資家と言われる場合もあります)。ジョージ・ソロスと立ち上げたクォンタム・ ファンドは10年間で4200%というリターンを実現。
1990年にはバイクで、1999年には改造ベンツでそれぞれ世界一周旅行を成し遂げ、116カ国152,000マイル(約245,000km)の旅のギネス記録も持つ。
中国の台頭
中国に関しては良いイメージを持たない人も多いが、伸びつつある。19世紀は英国の時代、20世紀は米国の時代、21世紀は中国の時代。
中国は共産主義ではなく、優秀な資本主義の国。中国人は平均して収入の30%を投資に充てている(米国人の平均は1%程度)。中国人は、豊かな日本人・米国人の生活を知っており、ハングリー精神がある。1978年に起業家が解き放たれ、13~15億人の中国人が動きつつある。
不動産市場などで一時的な後退局面は予測されるが、それで力が消えることはないだろう。
中国語も、これから重要な言語になる、中国語や中国に関する知識を学ぶと良い。子供や孫に学ばせるのも良い。
米ドルについて
過去60年余りに渡って世界の機軸通貨であった米ドルだが、今変わりつつある。かつては巨大な債権国だったアメリカだが、現在は8兆ドルという巨額債務を抱えている。更に15ヶ月ごとに1兆ドルずつ増え続けている。米国自身でのコントロールが効かない状態に。
ドル安は世界にとって好ましい。ジムの3歳になる娘はアメリカ国籍だが、スイスにのみ銀行口座を持っている。
1990年代は米国の株・債券が上昇、1980年代~90年代は日本の債券が上昇した。しかし2003年にピークを迎え、今世界の債券市場が停滞、これからも続くだろう。欧米の株も割高、PBR・PER・配当利回りのどれで見ても高く、当面はレンジ内で動くことが予想される。日本はもう少しポジティブに見ている。株に投資するならアジア諸国。
商品先物投資について
活況になると考える市場は、原材料・コモディティ。多くの人は砂糖はスーパー、ガソリンはガソリンスタンドで買うと思っている。しかし世界のどこかで常に大規模な取引が行われている。1980年ごろ、株とは何か、どこで買うのか、知らない人が非常に多かった。今は株式は一般化しつつある。商品についてはまだ知らない人の方が多い。実際に投資している人はごくわずか。
活況はどれぐらい続くのか。過去の調査では、短くて15年、長くて23年。平均では18~19年、その後に続く下落相場も同じくらいの期間になる。そして株式市場と商品市場は逆の方向へ動きやすい。
2014年~2022年くらいまで、商品市場の上昇は続くと考える。それは簡単な理屈で、需要と供給の関係。
例えば1970年以来、世界で巨大油田の発見はない。また、1983年以来新たに開かれた鉛鉱山は一つだけ。アラスカ・メキシコ・北海は産油地域であったが現在は油田が不足。イギリスは15年間石油の輸出を続けていたが、今は輸入している。マレーシアも数十年輸出していたが今は輸入。中国も10年前は輸出国であったが今は輸入国で、しかも世界第二位の石油消費量になっている。インドネシアもOPEC(石油輸出国機構)に加盟している程の産油国であったが、間もなく輸入に頼るようになり、OPECからも外れるであろう。サウジアラビアは、石油の埋蔵量を毎年発表しており、1988年に260Billion Barrelsであった。それから18年間、毎年同じ数字を発表している。毎年の石油生産量は63Billion Barrelsにも及ぶのに数字が変わっていない。計算方法・調査方法などについては未公開である、不思議なことだ。
過去何年も資源供給能力は落ちているが、需要はアジアの発展などと共に伸び続けている。株式は不足することはないが、資源や食料には不足が生じてきている。
商品のIndexファンドは前回の旅行前から見て、8年で268.2%の上昇。一時(9・11のテロのとき)は30%程度下落することもあったが、回復している。Indexファンドとアクティブファンドがあるが、Indexファンドの方が8割方パフォーマンスで上回っている。ポートフォリオを分散したいのであれば、アンカーとして商品を組み込むことを推奨する。他の市場とは全く違う動きをする。
Q&A
Q. 今一つだけ何かに投資するとしたら何に投資しますか?
A.
新規にということであれば、農業穀物関係の商品。
現時点での価格が安い、高値から7割ほど下がっている。年々、作付面積が下がり続けている。1972年から農作物の在庫は世界的に減り続けているし、砂糖の価格に至ってはピーク時から8割も低く評価されている。
Q. 商品に対する投資はリスクが高いのではないか?
A.
過去45年間、利益を出す投資家が多かった。商品は誰もが使っている。羊毛・綿・絹・ゴムなどの日用品、米・砂糖・トウモロコシ・コーヒー・お茶などの食料品、ガソリン・亜鉛・銅などの工業資源、例を挙げればキリがない。
そして株などより理解も分析もしやすい。一つの株について調べるには、経営陣・株式市場・政治・業界の特性・ビジネスモデル・財務諸表・他社の動向など、実に多くの事柄に目を見張る必要がある。商品に関しては、需要と供給のバランスさえ見れば良い。
商品に良くないイメージを持つ人が多いのは、おそらくレバレッジのせい。株式は、信用取引であっても投資資産の30~50%の資金を必要とする。商品に関しては、5%程度の資金で良い。だから無茶をする人が多いが、これをコントロールすれば問題ない。
Q. 石油や金の値段が上昇していますが中短期の見通しは?
A.
中短期の投資は苦手だからやらない。自分ほど中短期投資の才能がない人はいないだろう。
石油も金も、まださほど高くない。過去最高値を更新したと騒いでいるが、インフレを換算して計算すると、石油の過去の高値は約100ドル/バレル。今は70ドル程度。金に関しては、875ドルが高値だが、同じくインフレを換算すると約2000ドル、今は615ドル程度だ。これから金は1000ドル、石油は1000ドルを超えるであろう。ただし、途中で調整局面があるだろうから、気をつけた方が良い。過去の例でいうと、2001年は50%程度下落したが、その後500%上昇している。暴落はまた起きるであろうが、そのときにパニックになるのではなく、買うことをお薦めする。
戦争など有事の際は特に商品が良い。戦中は値が下がるが、平和になって一番先に値段が戻るのが先物。
Q. 通貨分散する中で、どの通貨が良いか。
A.
40~50年ほど前は、「健全な通貨」を謳う政府が多かった。今はどこも安心とは言い切れない。自身は、12~15通貨に分散している。カナダドル、シンガポールドル、ユーロ、スイスフラン、デンマーククローネ、ノルウェークローネ、イギリスポンド、ニュージーランドドル、オーストラリアドル、人民元、日本円など。カナダドル、シンガポールドルは最も健全な通貨の一つだろう。ユーロはこれからどうなるかわからないが、米ドルよりはマシ。日本は・・・政治家に言いたいことがたくさんあるが、やめておく(笑)。
Q. 商品先物業者の倒産について。
A.
会社の信用、健全な業者か調べた方が良い。投資家の資産保全(特別勘定)がされているかどうか確認すべき。
Q. 投資は感情のコントロールだと思うが、どうしたら良いか?
A.
投資する際の原則として、
1.割安であり、プラスに転じているもの
2.しっかり調べる
を守ると良い。そうすれば、判断が間違っていたとしても元が安いので損失が少ないし、自分で調べた結果なので後悔が少ない。
予想外の動きがあった場合には、再度調べ直す。その結果、単に価格が下がっただけであるとわかれば買い増す。感情のコントロールができない人には、
1.何にも投資しない
2.銀行に預ける
3.Indexファンドを買って、当分忘れる
のいずれかを選ぶことをお薦めする。
Q. インド・中国についてはどうか。
A.
特定の企業について経営陣を詳しく知っているなどの場合以外は、インドには投資したくない。「商品の時代」にも書いているが、
・起業家精神が不足している
・資本主義を嫌う
・インフラが未整備
・教育が混乱している
などの不安要素がある。インド政府が言っていることは正しいが、行動を伴っていない。もしこれが変われば、大きく有望な投資先になる。
アジアの人口は約30億人。かつての商品の大相場の際は、中国やインドは閉鎖的であった、インドネシアも環境が整っていなかった、パキスタンは内戦をしていた。つまり、アジアは相場に関わっていなかった。今は違う、これからどうなるだろうか。
日本株も、アジアの台頭に乗る一つの手段。
Q. ロシアは石油ガスをはじめ資源大国だがどうか。
A.
ロシアは15の国に分かれた。これから更に、50~100の国々になる可能性がある。たくさんの言語・文化が混在している。ロシアは経済が自由化されたが、「無法者の資本主義」である。マフィアが台頭している。確かに巨大な資源を保有しているが、生産量は減少傾向にある。従来の油田も枯渇しつつある。
ロシアの富裕層は、国外に投資している。また、小国であるはずのチェチュニアにも苦戦をしている状態。もし現地を視察して、良いと思えば投資しても良いだろうが、むやみに投資するのはお薦めしない。
Q. アメリカの政策金利が上昇している、商品などその他の相場にどう影響するか。
A.
金利上昇局面と同時に、インフレ・債務増にある。政府は市場をリードしているわけではない。政府が市場の動きに追随しているだけ。
まだ上がっていくでしょう。紙幣の印刷を減らすか、止めた方がよいだろう。短期では下がることもあるだろうが、2年後ぐらいにまた上がると考える。
Q. ユーロについて。
A.
ユーロは優れた通貨ではある。世界的に見て、これから米ドルの代わりになり得る。
ユーロは健全な通貨を目指していた。しかし、経済というよりは政治的な通貨。フランスの財政がいい加減、イタリア人も驚くぐらいに。イタリア・ドイツ・ポルトガルがこれから財政をいじる。どうなるかはわからない、崩壊してもおかしくないかもしれない。
Q. 不動産投資について。
A.
投資対象について、どれぐらい知っているかが大事。好きかどうか、詳しいかどうか。然るべきもの、然るべき値段なら良いだろう。日本の不動産は、詳しくないし投資もしないが。
Q. 商品投資はアメリカでは一般的なものなのか。
A.
日本では1億人中、10万人程度しか投資家がいない。欧米でもまだ少ない。アメリカは日本より多いが、Mutual fundに投資している人が約50%いることを考えるとぜんぜん少ない。世界的に見ると、取引所のない国もまだ多い。
これから30億人の人口を持つアジア市場が商品に投資するだろう。どこかの取引所が代表となり、インフラが整うだろう。いずれは新聞の1ページが商品欄になるのではないか、今は株式欄の片隅程度だが。そうなったら別の投資に移る頃だ。
Q. 農作物はいつでも、いくらでも生産できるがどうか。
A.
食料資源も、できるのに時間がかかるものが多い。物によっては3年程度かかる。作付面積が減少しているし、消費は増加している。需要と供給のバランスが大事。
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